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AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

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2008年 11月 14日

一時外出 制作 文学的

快晴。病室の窓際のベッドは暖かく眩しくて、酷くも軽くも判断しかねる症状の成り行きとは全く無関係に光を降り注いでいる。


今日また4本の点滴。
続けて落としきったのは15時半を過ぎた頃。
今日も一時外出の申請をしてバスで帰ってみた。乗り換え時間もスムーズに1時間弱で帰宅。盛岡はクラムボンで買ってきた珈琲をいれて飲む。作業スタート。
昨日準備した版に合わせた和食をカット。インク。刷りの作業。
下を向いていると瞬きの切れ味が悪い右目に涙がわいてきて手元が滲む。無感情な「涙」が流れ落ちる。その大きなに小さく驚く。

4作品。
まだまだ足りない。


家での夕食。
口元の弛み、咀嚼の覚束なさ。親しい人以外の他人との食事同席は暫くはしたくないな。
どれくらいかかるだろう。


タクシーで病院へ戻る。
仕事は思考力を刺激するのか、病室に戻ってもある種の興奮が継続している。普段はリラックスしたα波形でも出ているものとばかり思っていたのに。





21時消灯。
小さなスタンドの灯りで読書。
本の中のワンフレーズがひっかかる。
「相手を嫌うのなら、優越した立場で嫌いたい。イーブンな関係で嫌い合うのは、なんだか後味がよくない。」(橋本治.著「夜霧」)

文学的な情景は病んだ場所で読む者の細胞に浸透してくるらしい。

by aura-21 | 2008-11-14 22:43 | 健康


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