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AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

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2004年 09月 11日

芸術の秋深し

芸術の秋は忙しい…。浪岡、常盤、弘前を廻る。

浪岡、中世の館で今日から開催の「石沢暁夫アート展」は「なみおかアートプロジェクト2004」の一環。会場には所狭しと作品が並ぶ。個人の作品ながらその傾向の多彩さにいろいろ驚きながら会場をまわる。彼の本業のデザイン看板(ネオン管やカッティングシートの仕事など)の他に、国展や県展に出品している厚塗の抽象画、具象風景画、水彩、イラストetcが並ぶ。多種多彩。
「なみおかアートプロジェクト2004」はこの展以外にさまざまに浪岡を舞台に同時多発(今日この語彙もなんだが物騒だが…アートの「同時多発」である)に催し物が開かれ、また9/20までストリートパフォーマンスや街中ギャラリーと称した浪岡ゆかりの画家 阿部合成や常田 健などの絵画のほか写真・盆栽・書から、臼・60年代BSモーター自転車バイクなどの展示まで多種に渡るようで…そっちもかなり「アート」が拡大解釈?されているかな…。
これは地域起こしの一種なのかお祭り的なものなのか。 

明日は弘前劇場によるドラマリーディングが開催されるそうだ。
会場は旧坪田家住宅。雰囲気のある大きな田舎屋での語りは同じ話でも違った味わいになるだろう。


常盤ふるさと資料館あすか。9人の写真家による「田園祝祭写真展」。
ノスタルジックな田園のハレを写したようなポスターに惹かれたままの気持ちで会場に入るとノスタルジーと現代的なことの中間を行き来することになった。現代のノスタルジアか、土地のリリシズムか…秋の田園の中に建つ会場とタイトルの「祝祭」は写真の中の表現を豊穣として賛美し、そのまま写真へのアプローチが美しく準備されているかのようだ。出展者のお二人の方と話すことが出来た。若い世代にも声をかけ場所を提供していきたい…と泉谷雅人君(昨年の空間実験室にも参加 この春大学を卒業)を誘い広めにスペースも提供できたという。そのインスタレーションや写真パネルは昨年と春に見た作品。できれば彼には卒業を期に「学生作品」からも卒業して次の自分のものを見つけて欲しい。相馬 仁さんのインスタレーション作品は写真だけではなく素材の質感も作品の要素として大きく取り込む仕事。對馬基起さんは写真の他に被写体ともなる懐かしさ漂うオブジェを一緒に並べている。単に写真展ではなくすこしはみ出す部分をもって取り組まれた写真展。小型版ながらカラーの展覧会図録も準備/販売されていた。




「フォーラム〈奈良美智展弘前〉って何だったの? のこしたもの はぐくんだもの」 
弘前文化センター2階大会議室。
プログラム前半では「始まりから終わりまで」として実行委員会 長谷川正之氏より数字的なものも含めて報告がある。また須藤弘敏氏より会期中集計されたアンケートから判ったことを解説いただく。今年ファッション甲子園で準優勝した弘前実業高校の「Nara world In My skirt」のファッション・ショー・デモ。

休憩をはさんで後半のフォーラムは「ナラヒロ展」に関った来場者、ボランティア、企画者(小山登美夫氏)、地域アートサポート(日沼禎子氏)、報道(朝日新聞記者)の各代表者による感想・意見などからスタート。一巡して予定時間を使い果たす。(白熱する議論はその後のナラヒロ同窓会パーティーin吉井酒造煉瓦倉庫で持ち越されて行われたのかどうか…はわからないが…)

会場には約4割ほどのナラヒロ・ボランティアや実行委員などの関係者も参集。内側からの視点になるとどうしても奇妙な肯定のうちに話が進むのではないだろうか。私には今日のフォーラムも「ナラヒロ展を偲ぶ会」然となりそうで聞き流しっぱなしにしておきたい瞬間もある。決して厳しい批判や総括に終始して欲しい、、という訳ではないが、口当たりのいい思い出話ばかりでは今後に活かされないだろう。

気になったのは「ナラヒロ展」のボランティア活動が即「現代美術」の体験…という発言。
確かに若いボランティアには現代美術に興味があってナラヒロ展に関ったというよりも、奈良美智氏の作品や人柄に魅了され惹かれてきたことが結果的に現代美術の一端に触れた最初の機会だった人も多いことだろう。
奈良作品も現代美術ではあるが現代美術は奈良作品ではない。
そこが美術全体を俯瞰できる実行委員の人々とボラとの差というか壁を作ってしまったのかもしれないし、普通に他の美術展と同じ視点で「ナラヒロ展」を見にきた観覧者にとっては、ナラヒロ展がボランティアのシンパサイザー的視点を介して見せられちょっと辟易した点でもある。
シンパなボランティアにとっては奈良作品は全肯定の上に成立っているもののようだが、たくさんある美術展のひとつとしてナラヒロ展を観に来た者にとっては「奈良美智の作品」そのものに対して肯定や感動もあるだろうが疑問や否定をも持たせてもらえることが自由な鑑賞の時間であるはずだと思う。
、、日本では美術に長けている人ほど奈良作品に対する反応は厳しいように思える。


「松江喜代寿 版画展」(弘前 田中屋画廊)を観てから青森へ戻る。


美術でお腹いっぱいの食欲の秋。

by aura-21 | 2004-09-11 22:22 | ART


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