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AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

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2006年 03月 11日

小島郁子・柏木麻里展 重工業

3時過ぎに寝たかな。もうプレステは止めよう。10時に目を覚ます。でも布団から出ないでうだうだ。

国際芸術センター青森へ。
「Vision of Aomori Vol.2 小島郁子・柏木麻里 展 - 斥力、遠さにふれる -」と「チャン・ヨンへ 重工業のアオモリ アモーリ」を見る。
共に「ことば」を作品に関係付けている展示。

小島さんの陶作品にはまとう詩情がある。ことばにはなかなか置き換えられないもの、コトバにならない言葉が塊になってそこに在る。今回の詩人 柏木麻里さんとのコラボレーションがどのような展示構成となるのかは展示前からとても気になっていたカップリングだった。この空間で2人の作家の表現手段は違っても共に通じる世界とその役割の違いの相乗に心がほどけるような白い開放感を感じる。詩は陶の説明ではなく、陶は詩へのオマージュではなくそれぞれに美しく静かに孤立しながらも孤独ではない。寄添いながらそれぞれの仕事に妥協はない。伝えるべきリリシズムを水晶の光のように各々が放っている。
ギャラリーBの床やギャラリーAの奥の木材の台など、作品をあつらえる周囲にも仕掛けがありそうだ。不器用に切られ白く塗られた板が敷き詰められている。一見すると下手なんだが(本当に下手なのかもしれない?)モノ派の仕事のようにも見える。手技の稚拙さが見る側の作品への感覚を鋭くさせたり注意を喚起させたりする。
以前から小島さんの作品でインスタレーションを意識しながらも単体としてひとつひとつのオブジェがクラフト的に見えてしまうことの狭間で葛藤しているような迷いを個人的に感じていた。これまで単体でも魅せれる力を持つ陶のオブジェをどう空間全体に意識を向わせて見せれるのかを試行していたのだと思う。今回、そこに「詩」を介在された事で空間的にも時間的にも広がりえたのではないか…と感じた。
柏木さんの詩は初めて読むのだが、そこには言葉を推敲して最小単位にまで磨き研いだコトバたちが並んでいる。コトバの美しさ、詩の力を見ました。何度も読み返し、作品に視線を送る。



チャン・ヨンへ 重工業のアオモリ アモーリ」はAIRSによる初企画展。手にしていたDMから勝手に壁面への巨大投影による文字あるいはショートストーリーへ誘う映像インスタレーションと思っていたのだが、すこしがっかり。寄せ集めたモニターやパソコンという「器材」にばかり眼がゆく。モニターに流れる文字(物語)も断片的な単語が目まぐるしく点滅してしまいゆっくりとストーリーを追う気力が萎えてしまった。これは世代とか体力によるものなのだと思うし「私にはちょっときつい」というものは最近の現代美術ではよくあることのひとつ。
こちらも言葉を使う展示だが小島郁子・柏木麻里 展の詩のようにセンテンスを再読し噛み締めることよりも、芝居の台詞の発声や抑揚を単語の切り刻み方で感じさせようとしているのだろう。それが頭の中で現代の人(特に若い人)の語り口調で幻聴のように鳴り響く。決して好きな口調ではないのだが今風ではあるのだろう。英訳や方言訳もなされていると聞くがチラチラする画面の前に立つ気力がどうしても湧かずセンテンスを追えないでいる自分にはどうしても中古モニターの点在(空間的な配置も緊張感なくユルイ感じがする)にばかり見える。多分この内容はネット配信の方がコンセプトが明確になるのではないだろうか。またその方がモニターの器材に視線が奪われずセンテンスの内容に目がゆくことと思われる。詩とか文学のような言葉を磨く作業というよりもブログのような軽〜い内容の面白さなのだろう。Web上でのネットワーク的な協力者を募っているとも聞いている。今回の形のように実際の空間での展示よりもバーチャル空間での方が見えるものがありそうだ。ここにデモあり。



レクチャー「西洋古典版画の歴史」講師 佐川美智子氏(町田市立国際版画美術館 学芸員)を中央市民センターを会場として聴く。
版画を作っている者のひとりとしてはついつい「明日使える技法」に関心が向いたりするが、「明日使えるトリビア」な版画の話も面白かった。今回のレクチャーでは版画美術館学芸員の専門的な内容ですが、こうした話題を聞いたり話合ったりする場が青森には本当に少ないです。残念なことです。もっと版画についていろいろな観点からたくさんの人の話を聞いてみたいものです。「版画の街」なんだから…さ。

次週のレクチャーはACACの学芸員さん2名が続きます。傾聴します。版画の概念を敷衍し現代美術にまで繋げたお話も聴けそうです。
その後の酒が美味しくなる事を期待しつつ(笑)
近藤さんにプレッシャ〜? 違うからね〜 作ってても版画で知らないこと多いから、すごく楽しみなんですよ。

by aura-21 | 2006-03-11 16:51 | ART


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