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AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

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2006年 11月 04日

つちざわ

8時過ぎに起き出す。しまった、寝過ごしたか? 国道4号線を南下、何度目だろうか、毎回盛岡方面には高速道を使わずにこっちの道を通る。快晴の中、八甲田を抜けて十和田市に至り4号線に合流する。
今日は日帰りで岩手県花巻市の土澤(昨年は東和町と称していたが花巻と統合合併された)の「アート@つちざわ」へ。会期は明日が最終日。昨年に引き続き見ておきたい…会場は萬鐵五郎記念美術館が高台に建ちその見下ろす町並に今年は200作家近くの作品が嵌め込まれている。
14時過ぎにつちざわ到着。役場の駐車場に停めてすぐ近くで展示している長谷川さんと携帯で連絡とって合流。携帯電話の活躍だ。

2〜3ケ所を見て歩くと町内アナウンス「まもなく3時より美術の可能性を考えるシンポジウム 〜美術で街が活き活き〜が開催されます…ご町内のみなさん、どうぞご参加下さい」と…なんとも凄い。町全体に美術館の館内放送のようなものが流れている。元呉服屋「大徹屋」を会場に人々が集まり出す。観光客(このアート@つちざわを県外から見に来た人々や町内の人や参加作家さんやら…)
パネラーには新田秀樹氏(宮城教育大学教授)をコーディネータに、佐藤 泰氏(仙台 メディアテーク 企画・活動支援室長)、鈴木輝隆氏(江戸川大学社会学部教授)、浜田剛爾氏(国際芸術センター青森 館長)。

「アートで街が活性化」というテーマは斜陽化した街の起爆剤とか活力注入として取り上げたい文化事業的様相を帯びて効果的なように思えるような素材ではあるようだが、作家や美術関係の人から言わせると様々な問題の提起でありアジテーションであり話題提起そのものも侃々諤々を狙った「答なんかない」討論の末に各人が別々の答に繋がるヒントを見い出すような「考えることそのこと自体に意味のある」ものです。
もちろん異文化交流が空気の入れ替えに一役買うことに繋がることも確かですが、異文化を異文化視できる元々の自分達の文化の実存も試されます。「自分とは何者なのか」
つちざわでの事はここだけに限った事でもなく不偏的なことだから話にも聴きいっちゃいます。

交わされた発言の中で気になった語彙を:
「地域には賞味期限がある」
「計画を立てても実は計画以上の結果が出ないと失敗」
「イベントと祭の違い」
「集客装置ではなく批評装置・学習装置」
「地方にはクリティークが不在であり今展などはその機会」(クリティズムの確保)
「地方にこそ空間と時間がある」
…等々 エールが飛び交う

今回の「街かど美術館@つちざわ〈土澤〉」では(多分)100ケ所以上にちりばめられ嵌め込まれた作品が町をおおい尽くす勢いで声を挙げていたのだろう。残念ながらシンポジウムに聴き惚れて17時半の終演後にはもう宵闇が町を包みこみ始めていた。もう数カ所でも見たい…と路地に入る。
そうした場所を作品に取り込んでの現代美術系な作品には風景を異化する機能があるのだが、よそ者には元からあった風景にも充分に異化を嗅ぎ取り、トマソンな調理をして色眼鏡で見てしまうところがある。つまり作品ではないものまで「これは作品ではないか」という視線でキョロキョロしだすのでますます作品を発見しづらくしてしまう…というか脱線して別な路上観察になる…そういう町なのです。町の匂いです。

参加者の規制をかけないことでアンデパンダンとなった事の良し悪しが実行委員会内部でも問題化し今後の課題となったようだ。会場の数と参加希望者の数の調整を考えないと観る側に混乱が生じかねないのではないか。作品をセレクションしてもしなくてもオーディエンスは好き嫌いで見て勝手に判断する。作家をセレクションした展覧会でも人はそうした眼で見て判断する。特別に選考を必要としない形式はいまさら存在理由も擁護されていないのでは…とも言えるし、逆に無鑑査は混乱を招くのではないか。誰を選考者にしてその人物(たち)の判定基準を見えるようにすることの方が勇気の要ることなのだ。公明正大で理路整然と推進されることを希望している。

明日でこの展覧会も終わる。終わった町にはもとの平穏が訪れるのだろうか。
その平穏とは何か。
平穏な町からその匂いはまだ嗅ぎとれるのだろうか。


現代という時代とどのように個々の作品が関わって見えるのか。着眼点はそこだけかもしれない。
現代というよりも現代の美術の所作やトレンドとリンクしている作品や独自に時代と取っ組み合う仕事。
我が道をひたすら唯我独尊に突き進む仕事。


だいぶ遅くなった。これからまた国道を青森まで走ると5時間はかかるか。
盛岡の先輩宅にちょっとだけ寄るつもりが話し込んでたら23時を過ぎてしまったら、根性ない。
「もう泊っていけば」「…はい」「じゃ 飲もうか」「…(^o^)」
お世話になります。

by aura-21 | 2006-11-04 01:13 | ART


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