2001年 04月 17日
版画の刷り増しをする準備。古い版には付いたままのインク。ガソリンで拭き取ったつもりだったが、こびりついている。洗浄。エディションをちゃんと刷れるのか… 盛岡の戸村茂樹さんから電話を頂く。ありがとうございます。 「作家を名乗るいじょうは質に関しては様々であっても、その作品量は多く多く作り続けるべきだよね…」と、受話器の向こうからやさしい声質でもその内容は厳しく話しかけてくれます。そうでした。なんて自分は何もしていないんだろう。手元に今見せられる作品がちゃんとないではないか! 作る事を怠っているゾ!。 「コンセプトさえあれば作品がなくてもいいような仕事もあるけれど、我々の仕事はちゃんと作品を量として作って残せてること、必要があれば何時でも何処ででも見せられる…という絶対的量のことであって、それが自分の作家としての誇りや自信にもつながっているんだと思うんですよ…」 私は寡作を気取って作品量から生れる「自信」というものを忘れていた。 良い作家は必ずしも質だけに支えられていたのではない。 「仕事をしているか!? まず1000点作品を作れば作家としてなんとか始まれる」…ピカソだったかがそう言ったという。作品の質というものは客観的には簡単に判断できるものではないかもしれない。だが作品量はだれの眼にも一目瞭然だ。駄作もあるだろうが、そこに粘ってかじりついている力が良いものを産み出す基になっていたんだ。 戸村さんの話にはいつも眼を洗われる。 受話器を置いて、気持ちが薄れる前に自分の仕事場に籠ろうと思った。
by aura-21
| 2001-04-17 01:46
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