人気ブログランキング | 話題のタグを見る

AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

aura21.exblog.jp
ブログトップ
2004年 08月 28日

記憶のエレメント アートフォーラム

晴れ。
午前中に整骨院、気巧。体が慣れてきたのか効きがだんだん緩く感じる…腰の痛さを集中して取ってもらったがすぐに戻ってしまう。何割かは効いている感じもするのだが。



国際芸術センター青森へ。
13時より土屋公雄さんの展覧会「記憶のエレメント〜沈下する時間」オープニング。静かだが気迫のある作品群を観る。Aギャラリーに6組、Bギャラリーではガラスを使った小品や壁面のインスタレーションなど3組。時計が象徴的に使われている。記憶と時間は大きく関係している。今回土屋さんの初めての試み(本人談)として映像作品が出品された。ポスターでも使われた作品「記憶の家」(2003年)の解体時に撮影し編集したものだろうか。落下する家具。ぼんやり曖昧でありながら記憶/思い出を彷佛とさせる陰、ピントの浅い効果がもどかしい記憶の美しさとかやさしさに包まれた記憶、忘れたい記憶などなどを浮き上がらせるかのようだ。スローモーションでの落下とそれほど完全に壊れさることのない古い家具。
イメージは手を加えるとどうにでもなる。ハリウッド映画などでの爆破シーンが完全燃焼する火薬によってきれいさっぱり原形を無くすイメージがどこかにある。が、落下くらいでは古い家具でも砕け散ってはしまわない。古い家具、破壊の衝撃が与えられても原形を留める壊れ方…むしろ壊れない…ものである。古い記憶、記憶も同じようなところがある。
廃材から集めた鏡面の反射光、光も飛散して周囲をまだらに照らしている。

古い柱時計が綱(三つ編みされたロープ)で吊るされている。その示す時刻はヒロシマやナガサキに原爆が投下された時刻、ジョン・レノンが撃たれた時刻、ケネディ−が暗殺された時刻、9.11の時刻、東京地下鉄サリンの撒かれた時刻などを示している。作品の背景の歴史的意味で報道され記憶に焼き付いた悲劇の時刻群。アートのパブリックさから言えばここで作家によって「選ばれた時刻」は訴えかける力の大きな意味のある時刻たちなのだろう。しかしその意味が大きければ大きいほど逆に不確かにフィクションじみて感じられた。大上段に構えた「時間」だけがここでは選択されていたことに、むしろ現実離れした遠くの出来事としてリアリティーを嗅ぎ分けれない自分がいた。もっと作家のプライベートな「時」を並列してあったらまた別な感想をもったことだろう。どこの「時間」を選定するかで作家の所属する世代の位置が見えるようにも感じた。

▼9/2追記:ギャラリーA棟の反対側にも「灰のバラ」という作品がありました。見落としていた。一軒分の廃屋を燃やした灰を使った作品。今回のここでの展示には解体された家、あるいは人の住んだ生活臭を変容させて作品の素材としたことが記憶と強く結びつく効果を見せている。コンセプトと表現方法の強さを見せる素晴しい展覧会となっている。

続いて14時よりARTizan企画のアートフォーラム「世界に開かれたアートの場に向けて」。この会場に流れる応援歌を誰が聴いているのかだろう。聴いて行動に移せる人たちの居ることを私も願う。フォーラム中うっとりと見ていられた土屋氏の資料スライド画像。氏の体験したレジデンスでの現場写真がとても興味深い。そこに写る作品もある種忘れてた新鮮さ。注意しないと作品鑑賞になってしまうのだが本論は勿論レジデンスというものの実態に近づくためのフォーラムである。
Maria Tuerlingsさん(TRANS ARTISTS」)のお話にもあったが、レジデンスは作品の制作完成だけが目的ではなく、そのレジデンスの種類/内容によって千差万別。現地で作品を完成させなくともそこでの滞在期間を個々人が創造性に関連し費やせばいいのだ。集中する時間を持つ/送ることだけでも十分に意義のあることだろう。
ネットワークの構築とその活用…「活用」されることからスタートするものが大きい。アーティストというtransformerが別な文化とか他所の地域へ行きそこでの文化を読み替えることも交流を増幅させる。アーティストという機関(ウイルス?)だろうか。文化環境の中でその機能が腐敗とか発酵とか分解とかに相当する動きをもたらす。世界認識とか意識に関ることだ。




DVD「BULLETPROOF MONK」、「弾丸坊主」という邦題(予告編)のほうがなんだかすごい。ワイヤーワークが盛沢山、「グリーンディスティニ−」のような軽やかさがすこし足りないな。
DVD「ダムド・ファイル」「0」と「1」を見る。オムニバス。各話ごとのキャスティングと名古屋地区に絞ったローカル言葉が「恐い話」と相乗効果。寝たのが深夜3時半を過ぎた。


告知に「長沢アートパーク水彩木版制作研修」「日本の水彩木版画・世界の水彩木版画」を追記。
リンク集に「産業人文学研究所」「TRANS ARTISTS」(オランダ)を追加いたしました。

by aura-21 | 2004-08-28 23:22 | 展覧会


<< レジデンス 殺陣      解り難さ 親睦食事会 >>