AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

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2011年 09月 17日

厳重注意

早朝4時半ころか、長い揺れに目が覚めた。
また地震だ。しばらくぶりの大きく長い揺れ。ラジオを付けると震源は岩手の内陸のようだ。
昨日逢った戸村さんはじめ 多くの友人が住む盛岡。心配。



10時前。母を眼科へ送り、待つ間にN川河口へ行って車を停め、途中で買ってきたコンビニのカフェラテを車内で飲んでいた。
助手席側の窓から陸奥湾ののどかな海がみえる。
この場所は借りている倉庫と川を挟んで対岸にあたり、この道をもう少し先へ行くと漁船などが停泊した小さな港がある。海産物の加工所もあるようだ。

しばらくすると私の右側をパトカーが港の方へゆっくりと走り去った。パトロールか。しばらくして戻ってきたそのパトカーが私の車の近くで止まった。その中から厚い胸板のベストの重装備な県警察官3名が降りてきて私の方へと近づく。
「すいません。ちょっといいですか」と職務質問が始まった。
海と反対側の空き地には古タイヤや不燃ゴミが山積みになっている。

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土地所有者が仕事でタイヤを大量に置いているのだろうか。しかしその側に不法投棄の「警告」という立て札がみえる。その立て札を指して「ここに不法でゴミを捨ててゆく人がいるので、、、」と警邏目的を言いながら「ちょっとお車の中を拝見していいですか」
と、降りた3人の中のリーダー格の若い警官が言う。
わたしは不法投棄にここへ来たわけでもないし、車内にゴミも隠し持っていない。まぁ車内は汚いけれど。
簡単にササッと見て終わるのだろうと思って軽く了承する。
パトカーを運転していたもうひとりの警官だけは車から降りずそのまま私の車の後ろにパトカーを廻して停めた。
「降りてもらえますか」と言われて車を降りる私。
お仕事は? に「絵を描いています」と苦笑しながら答え、、これって仕事になっているかなぁ、、と口には出さずにそっと思う。
「海の風景などを描くのにここへ見に来てるんですか?」
「…いえ、私は抽象なので…」なんだかとんちんかんな受け答え。

「ちょっと服の上から触っていいですか」とその警官リーダー。
「最近ナイフを隠し持っている人がいるので」
なんか厭な感じである。最初はゴミの不法投棄で始まった話が変化してきている。
ぼんやり海を見ていただけの私には別にやましいことはないのだが。イヤな感じである。
何らかの先入観で対処されているようだし、その先入観には個人を越えた組織的な威圧感を感じる。

「どうぞ」と両手を拡げてみせる。

私の風体は異様かなぁ?  或はちょっとユニーク?、、、といえば良心的な見解か。
まぁ自由業なので着の身着のままだ。膝の穴を継ぎ当てしたジーパンに上は作務衣である。その作務衣も左肩だけ古い藍染めの刺し子の布を当てている。友人の骨董屋で買った古布である。髪の毛はもう7年くらい切らずに伸ばしている。きっと県内の50代男性の中では2番目くらいに長く伸ばして(一番目が誰かは知らないけれど)そしてヒゲヅラに眼鏡である。
一言で言うと「怪しいだろうな」というのは自分でも分っているのだが、実際に警察官3人に囲まれて職質されると、その風貌に社会通念上の役割のようなものが付与されてくる。
わたしはモノ作りのひとりとして制作を介して「先入観」とか「固定観念」とか「差別」といか「偏見」と密かに戦っているつもりである。ここでも自身の容姿から何かを決めつけられ探られるのは解せないが極力彼らに協力しているつもりだ。まぁ、ここで事を荒立てる理由もないし、むしろ早く終わってほしいという諦めムード。ここで断ったり拒否したりすると公務執行妨害とか言われて待機しているあのパトカーの後部座席に警官に挟まれて乗ることになるのかなぁ、、これは想像www

「車内も拝見していいですか」その物言いは至って礼儀正しくしようと勤めているふうである。
「了解を頂けないと後から何かなくなってもいけないので」と話す。
たいしたものは載せていない。まして見られてまずいものもない。どうぞ
ハッチバックを開ける。私が開けるのを待ってからそのリーダー格の警官がひとり覗く。あとの2名はまだ成り立ての警官だろうか。ひとりはメモをとりながら。もうひとりは黙って立って見ている。こうした場合のチームの役割分担があるようだ。若手の実地教習もあるのだろうか? 私はちょうどいいパトロールの研修マルタイであり、あわよくば彼らにとって何か成果を産むモルモットだろうか。

後部には2つの書類鞄が載せたままである。だらしない。
「鞄を開けていいですか」と言われ。断る理由もない。
私宛の大型封筒なども入っていてその宛名をみて「橋本さんですか」と訊く。…はい、私です。
まぁ、困るものもないだろうな、、、と思っていたら、荷物をかき分けて折りたたみ後部シートの隙間に嵌まり込むようにあった30cm程の長さのバールを見つけた。
「これはあなたのですか?」と車から持ち出した。…はい。
何をするために積んでいるのか?と訝しがられる。
この冬に何度もスタックして動けなかった時があり、氷を割るために載せた、、、とおぼろげな記憶しかない。いたってあやふやなのだ。
「これはシャッターやドアをこじ開ける機能があるものですね」
(はぁ? 私がそんなことをするように見えるのか?、、、)
警官の語気が急に強く聞こえる。泥棒する道具になるという指摘に驚いた。
道具はその持ち主の意志によりその機能が生まれる。決めつけるような判断(判断と言えるのか?)だ。「主なき鎚」Le marteau sans maître という語彙が浮かぶ。
証拠物件を見つけて勢いづいた警官はそのバールを手にとり
「これは記録させてもらいます」
とパトカーの方へ持ってゆく。最近の鋼鉄製のしなやかなバールではなく、工事業だった父の道具箱にあったもの。錆びた鉄の棒だ。この不格好で使い勝手の悪い代物は釘の頭も引っ掛からないだろう。確かに凶器と呼べそうだが、道具は持ち主によって意味が生まれる、、、とは思っても警官にはそんなことは関係なさそうだ。
私がこのバールを使って他人の家のシャターやドアを壊してこじ開ける人間と決めつけられたなんて、想像もしていなかった。性善説と性悪説というのがあるが、彼らは性悪説に従って行動しているのだろう。性善説で行動し事件を解決するのは純情派とか人情派とかテレビの中だけのこと。
不法投棄の看板から始まった持ち物検査は簡単に済まない方向へ行く。

助手席の鞄も開けられて覗かれた。もちろん見られて困るようなものはない。先を尖らせた鉛筆だって相手に突き立てれば立派な凶器だろうが、そういう方向への想像は私だけのようだ。ペンケースの中にはカッターも入っているのだがそちらは見ていないでモルスキンの厚いカバーのノートの方に関心が向いたようで鞄から取り出していた。さすがに書かれたノートの中までは拡げない。

免許証を見せて下さい。
バール1本でもう犯罪の証拠は見つかったのか。言いなり状態。オレは何もやってない!
「今回、このようなバールが発見されたので『厳重注意』ということで」と言われて何か賞罰の項目に×でも付けられるのだろうか? 前科1犯となったのか、、、と、トホホ気分。そして厭な気分。
どんどん犯罪者に仕立てられてゆくようだ。これだと世に聞く「冤罪」というのも簡単に押しつけられそうだ。性悪説という偏りを持った集団であるといえなくもない。
「靴の裏側を見せてください」に一瞬「?」
先ほどからメモ担当の新米っぽい警官が私の靴底を簡単にスケッチしている。あまりに簡単すぎて「それではデータにならないだろうな」と気の毒になるが、、これもすべて研修コースの段取りポーズだろうか?『お前の足跡はこっちでしっかり記録したからな、、、』的な。
『犯行現場に残された靴跡にあなたの靴跡(刑事ドラマでみたが「ゲソコン」というらしい)がフィットしたらすぐ逮捕に伺います、、、的な。
「サイズはいくつですか?」という質問に何故だかオドオドと答えている自分が哀しい。これでは簡単に犯罪者に仕立てられそうな空気。
事を荒らだてないのが信条である。
しかしこの調子だと本当に「えん罪」に巻き込まれかねない私であるな、とつくづく想像してしまう。

まぁ、、、厳重注意だ。、、、が、、厳重注意って何だ?

3人の警官に取り巻かれて職質にあっている間も、そばをゆっくりと通り過ぎる車から私よりも怪しそうなおっさんが好奇の眼をこちらに向けている。私の姿は逮捕寸前の泥棒状態。世間の眼に晒されて嫌になるよ。警官のそのむこうに色眼鏡な世間の眼がある。何が色眼鏡なのか?それは分らないが、何かの基準、それが正義の司法なのかもよくワカラナイけれど、そういったものは自分がどちらに味方するかで変わってくる。
「追跡!青森県警24時」のテレビ番組を見ていると、どっちを応援しているのか、自分。
悪は許さない的な正義感に溢れたナレーションに知らず知らず細かない経緯をすっ飛ばして警察の応援席から見ている。


私が泥棒か傷害の被害者になった場合には、彼ら警官の捜査に「どんな手を使っても犯人探して仇を取って下さい」と思ってしまうが、逆に犯人であるかのような眼で身体検査や職務質問される側になると、「厭〜なもの」だ。
当方の身が潔白であっても、何かが出たら追求され記録されるのだ。
今回は忘れてて載せっぱなし(横着者です)だったバール1本から厳重注意された。
しかし職務質問した以上は「成果なしには絶対に終わらせない」という感じが、ないわけでもないのではないか?

まぁ、私は身ぐるみを剥がされたような感覚になって、彼らの引き揚げた路上にぽつんと取り残された。近所のおっさんが一人、遠巻きに「連行されなかった」のを残念そうに見ている、、、ように感じるのは何だろう。

まぁ、とにかく「頑張れ!! 青森県警!」である。






病院で母をピックアップして駅前方面の眼鏡店へ。
眼鏡の処方箋をかいてもらった母に付合い。眼鏡を作る1時間ほどの間に昼食。チャンドラ2階へ。
私の格好は職質された時と変わらない怪しい普段着。チャンドラ店内ではピアノの生演奏中。
フロアースタッフもスーツにネクタイ。その格好はお客よりも品があって、なんだかこちらは哀しいよ。店を選び間違えたかな。ランチを注文。

眼鏡店へ戻る。母と店員の応対中に店内をプラプラ見て歩いて気になった眼鏡フレームを発見。また丸いめがね。
レンズも入れて作ってもらうことにした。そこからまた1時間ほどの待ち時間。


駅前広場の「B-1グランプリ」のサテライト会場でtさんが着ぐるみで出没する情報を聞いていて行ってみた。小雨がぱらつきだしてちょっと悲しい天候状態。そしてtさんも見つけられず。まだ早かったのかな。
美味そうなB-1料理のブースが列ぶ。ランチ後でお腹いっぱい状態で食えない。残念だ。


アウガの図書館へ。
エレベータから流れるアナウンス「五階です」が「誤解です」に聞こえる。
それは警察に向っての我が内なる声だ、、、まだ引きずっている。トラウマか。


眼鏡店へ戻り新しい眼鏡をかけても、見えてる世間はそんなに変化ない。
世間は変わらず、かけている眼鏡でピントが合い少しは色付けられるとはいうものの、昨今は世界観や人生観が突如変わるようなことが連続しているこの日本。しっかり真実をみるために視界も視力も調整しておく必要がある。




夜、木版の摺り。何百枚か。






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by aura-21 | 2011-09-17 22:22 | 雑感


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