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AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

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2017年 04月 20日

桜 そして 「アーサー・ダントと棟方志功」

風はまだ強いです。
桜が咲き始めています。近所の桜並木は三分咲きほどで、この風の強さが気になります。

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黒岩恭介さんから「九州造形短期大学 紀要 第39巻 2017」を戴きました。

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黒岩さんの論文「アーサー・ダントと棟方志功」が掲載されていました。
どうも ありがとうございます。

黒岩さんが青森に在住されていた時期は、青森県立美術館をはじめ、県内美術系施設の幾つかが建設され始動していた施設もあり青森県内のARTの大きなリスタート時期でした。地元在住のアート好きや専門家の顔ぶれがよく集まって勉強会や報告会や飲み会や … と活況の始まる予感充実の時でした。… いろいろあってその黒岩さんも青森から北九州に移られました。

2014年に黒岩さんから御著書「ロマン・オパルカ 無限への歩み」を戴きました。
特殊なその作品と作家オパルカについての論考をまとめた貴重な御本です。(現在 盛岡の友人に貸し出し中です)
今回もこの紀要が届き… 何故? と思い封を開くと
「棟方志功について、紀要に書きました。 読んでけろ」と4月18日付けの便せんが挟んでありました。
 
棟方志功は青森の生んだ国際的な版画家として、ここ青森で版画をしているとどうしても引き合いにだされ、すこし困る存在です。困るというのは、木版画で素晴らしいその仕事も、ここ青森では「木版画」という技法(板目の凸版としての木版画)だけがただ青森のお家芸のように郷土色にまみれて一人歩きしてしまい、棟方志功という孤高の作家の表現にまでは その視線がなかなか及ばず、県人で文化勲章受章者として 盲目的に神棚に祭り上げているような感想を私が持っているからです。
私は志功の作品はアバンギャルドで前衛だと思っています。
今の時代では情報の内容もその伝わり方も重層で多様になり、表現方法にもその影響があり、アートを観る側も膨大な教養と知識と感性と意見をもって観るために、価値観の多様性の中で版画という方法は、すこし古く見えてしまうのかもしれません。しかし、表現の原動力としてある創造性というのはいつも変わらなくあり、棟方の版画もその時代の人間の格闘の素晴らしい痕跡として見え、その時代の中で新しいことに挑戦した芸術家の熱情を感じます。

…閑話休題

黒岩さんの論文「アーサー・ダントと棟方志功」…
「2013年に89歳で亡くなったアメリカの哲学者で、美術批評家のアーサー・ダントが棟方志功(1903-1975)についての作品論や交友関係を綴ったエッセイが存在することは、あまり知られていないかもしれない。…」という書きだしから引用と黒岩さんの論考を交えた短い論文ですが、また新鮮な「志功」が発見できました。
全文引用(転載)できませんが、書かれていることから、新しい「志功観」とでもいうものを夢想のように思い描きました。


黒岩さま どうもありがとうございます。




 



by aura-21 | 2017-04-20 12:44 | 雑感


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