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AURA版画工房 日誌部 「むげたほげ」

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2005年 05月 05日

つねた&常田 歩んだ道展 斎藤義重展

子供の日、大人も子供も「子供の日」。

昨夜のお花見の酒宴で話題になった浪岡にある「つねた食堂」。数人のブログにも登場してて気になっていた場所。行ったことある人にその場所を教えてもらい早速、今日そこへ。

今日も青森地方は快晴。昼前に家を出る。空港を抜けて浪岡へ。4月から浪岡町も青森市となった。市町村合併も施行直前にまたいろいろ争点になったが青森市長選挙でひとつの結果が出たのか、落ち着きを取り戻した感。

路駐する車の列を見かけるとその傍には必ず満開の桜が連なっている。桜を求めて人が動くこの季節。風情ともいえるし強迫神経症的条件反射のようでもある。
遠目に桜の花の風に散り行く様を眺める。古歌にあるように桜というものが絶えてなくなってくれれば春の心はどんなに「のどけからまし」であることだろう。この樹を愛する心情が蘇る季節のピークでもある。

…と、想いながらもお腹の方は鳴りだす。花よりもなお…。つねた食堂をめざす。初めて通る道筋だが簡単に発見。しかしここも車の列。駐車スペースをはみ出し路駐する車。店内には数人の客が椅子の空くのを待っている。かみさんと入口の外でちょっと待つ。「祭日のお昼時にうちさ来ればダメさ〜」と出前にでる女性店員が我々の後から並んだ近所の親しい人に笑顔で声を掛けている。
うん、店の自信とみた。ここは気さくないい店だわ。

席についてふたりとも「ラーメン」を頼む。何を食べても美味しいと聞いたが、初めて入っていきなりそんなに頼めない。まずは初心者としてラーメンから。美味しい。
隣の席の人が「もやしラーメン」を注文した。その載ったもやしの量の多いこと! かみさんは「もやしだけでお腹がいっぱいになりそうだ」と見て感想。
メニューにはない「炒飯」を頼んでいたカウンターのご常連さんがいた。うらやましい。裏メニューかな?

日常的にあまりまずいものを食べなくなってしまった。美味しいと感じる時に対極にある「不味さ」がどこかに消えてしまったためによりクッキリと「美味しい」ことが脳内に浮き彫りにされにくいようでもある。美味しいと断言することに躊躇がある。もう上位ランクの味であれば同点である。後は好みなので自分の舌で確かめて。私は美味しいと満足する。

さて、食堂はひと段落したのか厨房の主人が常連客と話しだす。
「常田 健のアトリエさ行ったが」「この部落から出だ絵描きだ、おらほの本家だね」と聞こえてきた。寄ってみたいと思っていたところだったので聞き耳をたてる。1分もかからない近さのようだ。会計を済ませて店を出る。

常田 健 土蔵のアトリエ美術館
この春完成し、今月はこの3、4、5日だけの開館中。こじんまりとした作りだが受付ではおばちゃんたちが丁寧に接客している。三部屋に別れて常田 健の油彩作品が並ぶ。ケースにはデッサンやスケッチ帳が開かれて並ぶ。有志の協力で手づくりと聞いていたが気持ちよく配置されている。昨年秋の青森駅前空きテナントを会場として行われた作品展でもまとまって作品を見て熱いものを感じていたが、今回は作家を取り巻く周囲の人たちの熱いものに触れた。

「ガラスがないので見やすいわ」と来ていたお客のひとりが話していた。そう、私も同感。大切に扱い過ぎてガラスの密閉ケースに恭しく飾っている展示を時々見かけるが、ここではできるだけ作品を直に見てほしいという館側の思いと作家の願いが共存しているようだ。

すぐ近くにアトリエとして使っていた土蔵がそのままの状態で見せているという。歩いてすぐの土蔵のアトリエへ。まだ作家が描きかけの状態で席を外しているかのような生活と絵具の臭いがしてきそうな場所はこの日解放され自由に見て触って画架の前に座って「常田 健」を追慕できるかのように公開されていた。偶然にも青森県立郷土館の昆さんが来場者に解説をしていた。

昆さんからも個人的にお話を伺うことができた。
「多分、日本で一番開館時間のすくない美術館ですね」 確かに今月も今日までの3日間(それも15時まで)。しかし館にはかなり本格的な空調機器が設置されていて展示と同時に収蔵も管理されているという。「郷土館以上の設備かもしれません」と昆さんは羨ましそうに話す。
展示も絵にあった気の払われ方で見せている。なんてすごいんだろう。常田 健を知る人たちの手でここまでできたことにも。
今後の永い運営管理の尽力に敬意と期待を強く寄せたいと思った。

帰りがけに美術館前で常田 健のお孫さんの岡田考文さんと出逢う。「版画の方ですよね。青森画廊で見ました」と岡田さんの方から声を掛けて頂いた。恐縮する。
普段は岡田さんがこの館の面倒をみていると伺った。アトリエでの解説も普段は岡田さんがしているそうだ。大変でしょうが頑張って欲しいです。
素敵なものを見せて頂きました。どうもありがとう。

リンク集に「常田 健 土蔵のアトリエ美術館」を追記するご了解をいただきました。



弘前市へ。田中屋画廊「斎藤義重の歩んだ道 展」(5月10日まで)
昨年の100周年記念企画で青森駅前のNOVITAで行った斎藤義重展。あれから1年、生まれ故郷の弘前で小品展の展覧があった。今回の作品展は生まれてすぐに弘前を離れて最近になりその生誕地が特定される資料が出てきたことで、地元 弘前市へのあらためての紹介という意味合いもあるのかと思われる。

日本の戦後抽象表現美術とその後に繋がる現代美術の巨人である斎藤義重は中央では広く知られ研究されている作家のひとりではあるが、弘前ではまだまだ知られていない人と作風の作家かもしれない。展示も「初めまして」な略歴的写真と共催の松本さん(斎藤義重と一緒に仕事を続けてきたギャラリスト)の所有するスケッチや小品で構成されている。会場の空間の都合でもあるのか、小品展示だがとても見やすく納まっている。展示されたものは作品的な側面よりも斎藤を知る手がかりになるような「資料」的ものが中心的に並ぶ。
が、一番奥に展示されている赤いレリーフ(解説文では最後の作品、絶筆とある)が美しい。

近くの弘前公園では桜祭り。行楽と連休で道行く人も多い。忙しいこととも思うが地元弘前市内の人が多く足を運んでほしいと願う展覧会だった。



人と作品の密接な様は今日の2箇所の展示を見てまた認識を強くした点だ。

帰りに1階の喫茶スペース「北奥舎」でトマトジュース。
ここのトマトジュースは美味しいです。

by aura-21 | 2005-05-05 13:28 | ART


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